全国建設青年会議
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全国建設青年会議 第14回全国大会

全国建設青年会議 パネルディスカッション第二部
「これからの建設業のあり方」

パネリスト
  脇 雅史氏(参議院議員)

  杉山文康氏(中部建設青年会議会長)
  桑原克幸氏(九州建設青年会議会長)
  冨田名重氏(東北建設業青年会会長)

コーディネーター
  竹村公太郎氏(首都大学東京客員教授、建設産業専門団体連合会理事)

l        自己紹介、アンケートを踏まえて

冨田会長

アンケートの『ある社員の給与』の実態を見て、自分の会社もほとんど同じだと思った。それで生活出来るのか、というようなことを発信していかなければならない
点数の配点がわからないので何がダメだったのかわからず改善のしようがない。しかし事後公表があれば、何がだめだったのかがわかり、改善することが出来る。
 優良企業と不良企業の差別化のためにも事前公表はやめて事後公表を促進してほしい

 

桑原会長(九州)

点数の公表について、事後公表がないと配点がわからず改善点がわからないので今後のためにも事後公表はしてほしい。
 事前公表は積算能力のない企業が最低制限価格に張り付いて受注してしまうので困る。 (アンケートを見て)30代で年収が300万ちょっとでは厳しい

 

杉山会長(中部)

アンケートを見ると我々は平均的な地域だと認識した。
 建設市場は悪いまま、借金の元本どころか利子も返せない公共事業が減らされ、地域の雇用を維持、地域経済の下支えをする公共工事のそのような側面をないがしろにされていて残念である。
 予定価格の公表については、積算能力のある企業で入札を競わせてほしいので事後公表をしてほしい。
 総合評価については、技術点と地域点があるが、県や市の発注の際は地域点(本社の位置、防災、ボランティア参加等の評価)の比重を上げて欲しい。
 総合評価も成熟してきたと感じる。
 

l        アンケートを踏まえての発注体制

脇先生

建設業の実態を掴むために今回のアンケートは貴重だと思う。
 半分以上の企業が赤字経営というのは産業として問題がある。この実態を知りながら改善を図らないのは行政の怠慢、もはや犯罪行為ではないかと思う。
 このアンケートを見ればどのような入札契約制度をすればいいのかわかるはず。

 世間の評判が悪いが実態はみんな真面目な人間ばかり。適切な評価、感謝、賃金、これを与えられてないというのは問題であり、問題と思わないことがおかしい。
 発注する立場は国民のためにいいものをつくってもらいたい。市としては安く発注したい、しかしみんなでそれをやったら破綻する。予算でみたものは使っていただきたい
 落札率という言葉も意味がなく、落札率が90%以上なら不正だという考えがあるのでなんとかしなければならない。
 このような問題を乗り越えなければいけない

 

竹村氏

低入札という大きな問題は徐々に改善されてきてはいる。着実に進めていただきたい。


l        優良業者がどうやって生き残っていくか

冨田会長

優良業者…同業者から、発注者から、国から、市民から、金融機関からの視点といったように様々な立場からの見方があるが、一体どの視点から見たものが優良業者と言えるのか、目指すべきなのか。
 一般的に金融機関からみての優良業者が評価されてしまう。借金がなくてお金を借りてもすぐ返せる会社ということ。
 確かに優れていると言えるが、果たしてそれが我々にとっての優良業者と言えるのか?
 優良業者の提議、優良業者というラインをどこに引くのか、我々自身には決められない
 合併すれば会社の財政が黒字になって金融としてはいいが、その分周りの企業がどんどん仕事をとられ困る。

 

竹村氏
 合併でうまくいっているケースは?

金内氏(東北−山形)

行政で合併を促す、建設アクションプログラム
 私のケースは黒字と黒字で合併し、インセンティブがあった。
 当時、工事希望型の入札を実施していて2回に1回くらいしか資料がこなかったが、合併のインセンティブとして毎回エントリーできるよう支援いただいた。他にも点数の上乗せがあった。

 AランクとBランクの会社の合併だったが、合併後はどちらのランクにもまたがって入札に参加出来た。
 合併前より全体的な受注量よりは減ったが、健全経営に繋がり合併して良かった

 

桑原会長(九州)

合併での事例は特にはありません。
 優良企業は自分達が評価するものではなく周りからの評価である。それは経営と技術力に優れた企業ではないか。
 経営というのは自分でとった仕事は自分の社員でまかない、下請に無理(赤字)な仕事をさせない。
 優良企業という定義よりも下請けに無理をさせて自分の会社の利益だけを考えるという企業
(不良企業)をチェックする機能を作る方が早い。

 

杉山会長(中部)

失敗した例では経営者間の私欲が出てしまい、合併した大きい会社を中心に考えてしまい経営者間の対立が起きてしまった。
 成功したのは合併した新しい会社としての新しいビジョンを持って経営を出来たケース。単なる数合わせではなく将来を見据えての合併が必要。

優良業者

1.よいものをつくろうとかんがえている

2.地域の防災があったときに活動する準備をおこたらない

3.地域の雇用を維持

この3つを備わっている企業が地域の優良業者だと考える。
 新しい分野に進出するにしてもただ参入するだけでなく、新しい考えがないと成功は難しい。町作りを考えた参入の仕方だとよいかもしれない

 

脇先生

自由競争で生き残っていくのは優良業者。
 それは発注業者が選ぶ、市場では買い手が選ぶもの。しかし普通の市場ではよいモノだけがかつとは限らない。

 公共事業は自分の趣味で買うわけではない、発注者は納税者の代表として一番いいものを買う。そこで選ばれた会社が優良と呼ばれる。
 入札契約の原点は国民のためにいかによい会社を選ぶかということ。
 それは発注者にしか出来ない。発注者が本気で選ぶということがない限りいくらマニュアルつくったって仕方がない。
 そのため優良業者を見極められる優れた発注者がいなければならない。
 発注者を信じられないようじゃ成り立たない。
 

 

l        新しいビジネスモデル

杉山会長(中部)

経営が厳しいという中で経営の見直しを図ろうということで、各県の創意工夫を行っている会社を企業研修することになった。
 大震災に備えてのBCPの講習の実施、BCPの設置に向けての活動をしていく。
 工場が大震災等で全壊した場合、実際再稼働まで何ヶ月もかかってしまうが、最低限の生産が出来る一部分だけの耐震補強なら工場でも投資出来る
 インフラの部分だと物流、港の最低限の部分を選んで補強をして地域のBCPとしてつなげて行こうという活動を行った。

  

深松氏(東北−宮城)

街中にある古い分譲マンションの耐震改修が遅れている、億単位の金がかかり、とても組合員のお金ではとても出来ない。近隣の住民の不安もある
 規制を緩和することによって民間が動き出すといったことをしてほしい。

  

富田会長(四国)

高松は現在再開発を行っている。
 郊外に大型店舗が出来て商店街が小さくなっていたが、商店街の組合が団結しマンションの1、2階をテナントにして上の階をマンションとして売り出している。
 テナントにどんな店が入れば町が生きるかを考え、町全体がリニューアルする気があればなんとかなる。
 問題点としてこの活動によって人は集まってくるが高松という小さな人口商圏では他の近隣の町の人口が減ってしまう。

  

・優良業者はいかに生き残るか

 

脇先生

これから公共事業の需要はなくなるのか?
 前原大臣は3割くらい減らすと言っているが、地域が発展していくには公共投資が必要である。

 現在のインフラの整備水準を少なくとも落とさないというのが重要である。
 日本全国どこでも暮らせるようにインフラを整備していかなければならない。

 今の財政ではどんどん新しいものをつくるのは難しいけれども、少なくともインフラの水準を落とさないという金額は、今の予算がギリギリでそれ以下にすればどんどん衰退していく。
 今の仕事量くらいは確保しなければならない。

 それぞれの発注者と今後どんな仕事が出てくるのか、県内市町村からどんな仕事が出てくるか検討をつけるのが必要だ。概ねこの地域ではこれくらいのことはしなければならないということはある程度見通していかなければならない。
 地域にまかせたとしても予算がなければやらない地域も出てくる。
 その地域だけ沈下してはいけない。

 本業として必要な部分は残した上で、様々な工夫をしていくことになる。
 国として県としてどれだけの建設産業がいるんだってことを法的な立場で政治行政の立場から伝えて行かなければならない。そのようなことから発注者や行政、政治が逃げている。
 公共事業をどんどん減らしているのは日本くらいであって、少しの工夫でいろんなやることが見えてくる。
 建設業のみなさんが本業で戦えるよう私も頑張っていく。

  

冨田会長(東北)

仕事がないから続けることが難しい。好きなだけでは仕事が続けられない業界になってしまったのか。
 魅力ある建設産業に向けてという思いを私は大事にして、5年10年と続けていきたい。

  

桑原会長(九州)

来年の見通しが出来ず、来年私はまたこの席にすわっているもわからない。みなさんも同じだと思います。
 九州としてはこのようなコミュニケーションの場がなくなったら終わりだと思っている。
 魅力ある建設産業にむけてということで話すと、自分の子どもに会社を継がせられるのか、自慢出来るかと言うと…
 他産業に進出するにしても、本業あっての他産業だと思う。その部分は守っていかなければならない。

  

杉山会長(中部)

建設産業の本質的なテーマだったが、ダンピングが頻繁だったころ価格競争だけじゃない制度へと言い続けてきた。
 その中で総合評価方式ができ、自分達の努力するべき、進むべき方向が見えてきたときに政権交代が行われてしまい、予算が3割減になることになり今自分達の努力する道がわからなが、まずは経営者として雇用の確保を頑張る。
 この全国建設青年会議というのはいろんな提言も行ってきましたし、このような情報交換の場は貴重な会議である。

  

脇先生

成長が止ったときに本格的な政策が必要である。実際に今までみなさん方がよくなったというような契約制度にはなってない。
 善意でやっていること、やってきたことがこれだけ認められないというのは良くない。説明してこなかったことが原因かもしれない。
 現場を見てその現場をよくしようと考えればこんなことにはならない。
 建設業は必要な産業だから、きちんと利益を出して技術力・技能力を確保していかなければ日本のインフラはダメになっていく。
 今をチャンスと捉え、切迫している状況を訴えるべき。

  

竹村氏

 高橋氏の講演でも、きちんとしたデータから指摘されている。今日の資料も全国的なデータを示してあるが、ブロック毎のデータが必要。
 整備局・県と連携し客観的判断をし、建設業の苦境、必要性を主張する。
 データの重要性を再認識し、商工会議所や商工会と共に声を上げていくことが必要。

                    以上、パネルディスカッション第二部終了